職場の中で、人と人はさまざまな“つながり(関係性)”の中で仕事をしています。
そして「そのつながりを通じて、互いにどのようなことが行なわれているのか」を見ることによって、イノベーションに積極的に取り組める組織か、連携が取れた生産性の高い組織か、仕事がしやすくストレスの少ない組織なのか、コミュニケーションの状態はどうかといったさまざまなことがわかります。ちょうど血液を採取して調べれば、それだけでも健康状態や体の機能不全がどこにあるのかなど、多くのことを調べられるのと似ています。
チームワークの7つの段階は、その組織のチーム力の状態を段階で示したものです。
チームの状態は、「レベル4(共通のものをもつ)」を境に、大きく変わります。「レベル1~3(知っている、話をする、理解する)」の状態は、
多様性を受け入れた居心地の良い、いわば静的なチームであり
「レベル5~7(自分の仕事の範囲を越える、利害・対立・葛藤を越える、
今ある価値を越える)」の状態は、違いを越えるために様々な葛藤に向き合うことで新たな価値を創る動的なチームです。
レベル1~4は、組織のベースとなる関係性です。
どんなにチーム力を高めようとしても「事実(人と仕事)」を知り合い、
受け入れる信頼がなければ成り立ちません。
だから私たちは、オフサイトミーティングやジブンガタリなどの手法を用い、
レベル1~4のチーム力を創っていくプロセスを大事にし、時間をかけています。
人は、それぞれ「違う」ということ、立場や利害などの「違い」がもたらす現状を「事実」として受けとめ、尊重し合うことができる関係性があるかどうかを見る段階です。この段階を上げていくプロセスは、「互いの『違い』をまず理解する」状態をつくるプロセスといえます。
・部分最適ではなく、全体最適の視点、考え方
・一人ひとりの多様性を生かし、立場や利害を越えた協力
・既存の答えと異なる意見や違和感を受け入れ、生かすチーム力
この段階の組織は、仲の良い、居心地のいいチームです。人々が日々過ごす場としての「コミュニティ」としてのつながりができている状態です。しかし、たとえ「コミュニティ」とて居心地がよいとしても、それだけでは企業組織の生産性は上がりません。そこで、「チーム」としてのつながりができているかどうかが重要になります。
つまり、多様性の尊重はゴールではなく、新しい価値を生みだすチームになっていくためのプロセスといえるのです。
その組織での自分の存在意義を感じているかどうか、その組織で共にめざそうとしているものがあるか、それを共有している状態か。これが「仲のいいチーム」から「新たな価値を生み出すチーム」への転換点です。この転換点を、チームワークレベルでは「共通のものをもつ」と表現しました。組織の目的を共有し、自分の仕事の目的と重ね合わせて深く理解しているメンバーが多ければ多いほど、チーム力が強化されていきます。
・組織の目的と自分の仕事の目的の重なり
・チームが新たな価値を生み出す力を持つための突破口
仕事における互いの立場や役割の違い、一人ひとりが持つ多様な強み、知識や知恵、情報等を生かし、既存の枠組みを越えて新しい価値を生みだしていくチームの状態を示しているのが、「レベル5~7(自分の仕事の範囲を越える、利害・対立・葛藤を越える、今ある価値を越える)」です。この段階のチーム力を持ち、さらには日常の仕事を通じてその力をみがき込んでいる組織は、持続的に自ら進化し、環境変化に負けない優位性を持った価値提供をする力があると言えるでしょう。
・既存の枠組みや思考を越える力
・自分たちの力で進化する
・環境変化に振りまわされない力