製造業(実施部門:研究所) K社様の活用ストーリー
K社様の概要
実施日 | 第1回 2013年4月/第2回 2013年10月/第3回 2014年4月 |
---|---|
業種 | 製造業(実施部門:研究所) |
従業員数 | 80名 |
ユーザー | 社員 |
回答対象 | 役員~スタッフ 全社員 |
回答率 | 88% |
製造業(実施部門:研究所) K社様の活用ストーリー
Q:あなたの職場を、どうしたいと思っていましたか?
研究所というと、自由な発想で新しいものを創造する仕事をしていると一般的には思われるかもしれません。でも当社の場合、研究者それぞれがタコツボ的に与えられた仕事の枠の中に閉じこもって働いている、というのが実態です。自分の仕事以外、周囲のことはほとんど目に入らず、自由闊達に議論するような雰囲気もありません。研究者一人ひとりは高い能力を持っているけれど、このような仕事のしかたではその能力を発揮できず、革新的な開発を生み出すのは難しいのではないかと感じていました。 もちろん、何も手を打ってこなかったわけではないんです。タコツボ化を脱するために、ワールドカフェ、チームワーク研修、有志の勉強会・発表会など、さまざまな施策を実施してきました。自分の仕事以外に、互いに関心を持てるように、小さいことでもコツコツと働きかけをしてきました。けれど、この働きかけは大事なことだと信じていても、施策を実施しつづけることはなかなか辛いことでした。 なぜなら、仕事の対応で忙しい中、「なぜ、そんなことやらないといけないのか」「取り組んだ施策で成果がでるのか」そういう事を、参加者や上司に言われ続けたこと。要は、この組織のチーム力の現状に対し、何が問題なのか、と問われたのです。何より、自分自身がこの問いに明確に答えることができなかったのが、いちばん辛いことでした。
Q:ワークコラボレーション・レビューを選んだ理由は?
なんとかこの問いに答えを出したい、チームの何が問題なのかを皆で共通してわかる何かがほしい、施策を実施した成果を測りたい、そんなことを考えて情報収集し、いろいろなツールにあたってみました。Webで検索すれば、チームワークを診断するようなツールは山ほどあったがかなり高額だったり、複雑で使い方がが全く理解できなかったり。ツ-ルの導入自体が大変すぎて、なかなか導入できるものがみつけられずにいたのです。そんな折あるセミナーで、スコラ・コンサルトのワークコラボレーション・レビューの話を聞き、「これだ!」と。このツールが当社にが合っている、と感じたポイントは3つありました。
まず、「自分達の手で組織を良くするためのツール」というコンセプト。「組織はコンサルタントに変えられるのではなくその組織の人達が変えるもの。ワークコラボレーション・レビューはそのためのツールである」という考え方は、本当に共感した。このツールは自分達の組織の課題を自分達で見つけ出すことを支援してくれる。それが魅力でした。
二つ目は、ツールの使用料が「無料」だったこと。どんなツールなのか、私たちの組織にフィットするのか、成果は出るのか、そんなことは導入前に明確にわかるものではない。試行錯誤しながら使っていくことを考えると、「無料」は本当にありがたかった。
そして三つ目は、チームワークの状態の見方が「7段階」に設定されており、その内容がシンプルでわかりやすかったこと。組織にはいろいろな立場や見方の人がいるなかで、見方を共有していくには、シンプルな指標でないと無理。この7段階はシンプルながら「どういう組織になりたいか」、「そこに至る必要なプロセスは何か」、そして「今のボトルネックは何か」が明確に見える化されることが魅力と感じたのです。
さらに、今まで取組んできた施策の意味・目的を、この7段階の指標を使えば多くの人に説明できそうだと感じましたし、何より、自分自身が、「何をめざし、そのために何をしようとしているのか」、それまで答えられなかった問いの答えを言語化し理解することに役立ちました。
ワークコラボレーション・レビューを実施する際にも、関係者の理解をひじょうにスムースに得ることができたのも、ワークコラボレーション・レビューというツールのシンプルさ・わかりやすさを示していると思います。.
Q:どのように準備し、実施しましたか?
まず幹部会議で、今まで実施した施策の効果測定できるので活用したいと説明しました。7段階のプロセスの必要性は、詳しく説明するまでもなく、多く賛成を得ることができました。ただ、アンケートを自分で作成する作業は少し難しかったので、スコラ・コンサルトのプロセスデザイナーにアドバイスをもらいながら進めました。
ワークコラボレーション・レビューは、アンケート作成に際し、どの組織をチームと定義するか、役職や部署の属性をどこと指定するか等々を自分達で考え定義しなければなりません。これは、組織のどこにチームワークを阻害する制約があるかを見えるようにするための大事な作業だというプロセスデザイナーからのアドバイスもあって、組織の問題について一旦仮説をつくってみました。ここには、かなり頭を使いましたね。その後の作業は、スムーズでしたが。
アンケート回答への督促は何度かしたけれども、かなり多くの人に回答いただくことができました。90%近い回答率になったので、それ以上の督促はしませんでした。
Q:回答結果は、どのようにレビューしましたか?
ワークコラボレーション・レビューを初めて実施したときは、研究所全社員が集まる会議の場で2時間程度をかけて情報提供しました。アンケート結果を簡単にレクチャーし、それを踏まえどう感じたかを、数人のグループに分かれ対話してもらいました。自由に議論してもらったからか、議論が深まったグループもあれば、議論が進まないグループもあったなど温度差はあったように感じました。
2回目に実施のときは、組織内の発表会やグループ内の会議等を通じてレビューしました。初回実施からの変化を受けて、1回目以降に実施した施策の効果について議論し、次の施策をどうしていけばよいかをみんなで話し合いました。
3回目は、これからです。
Q:レビューし、話し合った結果はどうでしたか?
<pまず、結果をレビューする前に、ワークコラボレーションの7段階の意味を時間をかけて説明しました。今まで実施してきた施策がどういう意味があったのか、この7段階で説明することで、社員の施策に対して理解が深まった手ごたえがありました。
チームワークを良くすると一言で言っても、社員の見方は様々で、飲み会のようにわき合い合いをイメージする人もいれば、はげしく仕事で議論する仲間をイメージする社員がいたりします。これまでは、チームワークに対して持っているイメージが異なることに気づかず、共通の見方がないなかで、チームワークを良くしようと言ってきたから、同床異夢の状態になっていたんだと思います。
この7段階のおかげで、社員皆が、「何を目指して、今回の施策はそのためのどこをよくするためにやっているのか」という意味・目的を共有することができるようになりました。
まさに、共通のモノサシができたんです。 グラフのレビュー結果には、3つのポイントに注目が集まりました。
1つは、部署内のチーム力の高さに対し、部署間(研究所内の各部署間)のチーム力はかなり低かったこと。予想はしていましたが、これほどとはと…。部門間の壁がかなり高いことが明確になりました。
2つ目は、メンバー同士が深く話し合っているかということ。
実は、私たちはけっこう深く話し合えていると思っていたのです。しかしそれは、与えられた仕事をこなすために必要な話をしっかりしているレベルだったということ。「その仕事のやり方がそれで良かったのか」「もっと違うやり方があるのではないか」「そもそも、やる必要があったのか」など、互いに感じている事を一歩踏み込んで話していない。そして、そのことを問題だと認識していなかったということ。
そして3つ目は、仕事の目的の共有状況について、上司と部下の見方が真逆だということ。上司は仕事の目的を部下と共有できていると感じ、部下は共有できていないと感じているということ。上司は目的を伝えたつもりという認識のギャップがあったということでした。
全体のワークコラボレーション・レビューの結果
コミュニケーションに関するアンケートの役職間の回答の差
ここからわかったのは、私たちのワークコラボレーションのレベルは、「与えられた仕事に対し協力する」というレベルだということでした。
与えられた仕事に対して、「その仕事について互いにどう感じているか」「本当はもっとこうすればよいのではないか」「その仕事はどういう意味があるのか」など、部署間や上下間の壁を超えて、本当の気持ちを話し合い、目的を深く共有するなかから出てくる、お互いの立場を超えて協力しあうチーム力にはなっていないことを改めて感じたのです。
もちろん、このような見解を研究所全体が持ったわけではありません。でも、上位役職者はじめ、高いレベルのコラボレーションの必要性を理解する多くの仲間ができたことが何よりの成果です。
Q:レビュー後、職場に変化は起きましたか?
「仕事は一人でするものではない」という意識が高まりつつあるように思います。自分自身や与えられた仕事の殻にとらわれず、仲間達としっかり本音で議論すること、互いを理解すること、それが協働につながるとの理解が広がりました。
この協働から、与えられた仕事の延長ではなく多くの人とコラボレーションすることができ、結果イノベーションにつながる。だからこその、チームワークだということを理解できました。なかでもうれしかったのは、部長の意識が変わったこと。協働のためには、7段階の1~4を高めることが必要なんだという理解が高まりました。レベル1~4というと、チームワークの土台となる部分ですよね。ここは、仕事では大事にされにくく、目に見えずらいこともあり、重要性を理解されにくかった。今では、レベル1~4を高めるいろんな施策に対して、実施する意味を疑問視されることが少なくなり、社内でコミュニケーションをとりやすくなりました。
ただ、理解はできていても、実践するのはなかなか難しい。私たち事務局も、コラボレーションが必要だと言いつつも、もっと現場に入り込んでコラボレーションを推進する当事者になりきっていないなぁと感じています。ここは課題ですが、まず自分が、小さなことでもできることから実施していこうとしています。
たとえば、昼食は一人で食べていたけど、今は必ず職場の仲間の誰か、しかも、いつも違うメンバーと食べたり。
7段階というモノサシを自分が持ったことで、高いアウトプットを出すためにも、自分と違う人の意見や関係性を大切にする思考が身についてきたのかもしれません。組織全体を変えるということも大切ですが、そういうモノサシや考え方に多くの人が触れることで、一人ひとりの行動や意識が少しずつ変わっていくことが最大の成果なのではないでしょうか。
Q:これからどうしますか?
アンケートは継続的に実施しています。回を重ねるごとにレベルアップし、チーム力が高まっている実感を持っていますが、その力を、組織の課題実践に活かすところまではこれからだと感じています。そこに活かすキーは、レベル3とレベル4の向上だと思っています。仕事の目的に対する役職間の認識の違いや上司から与えられた仕事は、自分で意味や目的を深く理解することなくこなそうとしている、という現状を打開することから取組みます。
今、「脱タコツボ化」を目指して、研究所横断のプロジェクトチームが立ち上がりました。このプロジェクトに参加するメンバーがそれを実施する意味や目的について納得していないと価値は生まれない。そこで、プロジェクト立ち上げ前に、参加メンバーを集めて「自分たちは研究所をどうしていきたいと思っているのか?このプロジェクトでを何を実現したいのか?」などを本音で話し合い、プロジェクトの目的について深く考える機会を持とうと思っています。